認知心理学研究
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原著
記憶に及ぼす覚醒度の効果は快・不快感情によって異なる:覚醒度説への反証
野畑 友恵越智 啓太
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キーワード: 感情の質, 覚醒度, 記憶, 保持
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2005 年 3 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

本研究は,記憶における感情の質と覚醒度の影響について検討することを目的として行われた.実験1では,被験者は,写真スライドを見て,それぞれのスライドについて感情の質,覚醒度,そしてスライドの説明しやすさについて評定した.スライドは,感情の質と覚醒度の感情次元において幅広いものが使用された.スライド提示直後と1カ月後に,被験者には偶発記憶テストが与えられ,覚えているスライドについて報告させた.その結果,直後,遅延のどちらの記憶テストにおいても,快感情を生じさせるスライドでは,低覚醒スライドが高覚醒スライドよりも多く再生され,不快感情を生じさせるスライドでは,高覚醒スライドが低覚醒スライドよりも多く再生されることが示された.実験2では,刺激や手続きを改善し,再度この現象について検討した.その結果,実験1と同様な結果が得られた.よって,記憶における覚醒度の効果は,感情の質によって異なることが考えられた.

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© 2005 日本認知心理学会
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