認知心理学研究
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眼の喜び表情の決定要因:眼は口ほどにものを言うか?
上田 彩子
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2007 年 5 巻 1 号 p. 63-69

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抄録

他者の情動を認知する能力は,正常な社会的相互関係を保つうえで重要である.特に,眼の複雑な表情および心的状態を理解する能力は,“心の理論”の指標となることが知られている.本研究では,眼の表情認知の一端を明らかにすることを目的に,眼の“喜び”情動表出の決定要因について検討を行った.実験刺激には,異なる表情間で部分的に入れ替えを施した,合成顔画像を用いた(例:中立情動を表出した眼の領域と,喜びを表出した残りの顔領域を合成した顔画像).その結果,眼から快-不快印象を判断する際,顔全体の領域からの情報の関与が認められた.そのため,眼から表情を読み取る際,眼を注視しても,顔の全体的処理の影響を受ける可能性が示唆された.また,眼の喜び表情表出に最も関与するのは口を含む領域の変化であった.

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© 2007 日本認知心理学会
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