認知心理学研究
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表情認知と人物認知間の非対称的干渉
小松 佐穂子箱田 裕司
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2009 年 6 巻 2 号 p. 143-153

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抄録

本研究は,選択的注意課題(Garner パラダイム)を用いて,表情認知と人物認知の非対称的干渉について検討を行った.実験1では,判断に無関係な情報を統制あるいは変化させた条件で,表情もしくは人物についての判断を行った.その結果,顔の個性や観察者の性別に関係なく,人物判断の反応時間は表情の変化の影響を受けないが,表情判断の反応時間は人物情報の変化の影響を受けるという非対称的な干渉が見られた.そこで実験2では,この非対称的干渉は両判断の相対的な難易度の違いによるものと考え,顔刺激画像の人物の合成を行って人物判断を困難にして実験を行った.その結果,表情判断における人物情報の干渉は消失したが,表情情報の干渉も見られなかった.したがって,表情認知と人物認知の非対称的干渉は,判断の難易度のみでは説明できないことが明らかとなった.

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© 2009 日本認知心理学会
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