2009 年 6 巻 2 号 p. 155-164
本研究は,潜在的なジェンダーステレオタイプ的知識(すなわち,“女性—依存”)が,対人印象判断におけるコンストラクト・アクセスビリティ効果とどのような関連を持つかを検討した.大学生男女各36名は,表面上無関係な二つの課題を行った.まず,参加者は,単語の位置同定課題において,中立刺激または依存関連刺激に接触した.次に,男性または女性ターゲット人物に関する文章を読み,その印象を評定した.加えて,Implicit Association Test (IAT)を行い,知識連合強度を測定した.その結果,参加者は“女性—依存”というステレオタイプ的知識連合を持つことが示された.その知識連合に一致して,依存関連刺激に接触した参加者は,中立刺激に接触した参加者に比べ,女性ターゲットをより依存的だと評定したが,一方で男性ターゲットではそのような結果は見られなかった.さらに,ターゲット人物に対する依存性評定値と知識連合強度の間に,正の相関が見られた.これらの結果から,ステレオタイプ的知識連合は,プライムへの事前接触が対人判断に与える効果に,強く関連することが示唆された.