認知心理学研究
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原著
想像空間の方向判断時間に対して登場人物の身体感覚イメージが与える効果
塚本 瑠奈
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2011 年 9 巻 1 号 p. 45-54

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抄録

二つの実験によって,筋緊張の身体感覚イメージが想像空間内の方向判断時間に影響するかどうかが検討された.参加者に呈示された物語において,その想像空間内の登場人物が4種類の姿勢をとった:(a)両脚で正立している,(b)両腕でぶら下がる,(c)両腕をつき逆立ちをする,そして(d)両脚を掛けて逆様にぶら下がるである.姿勢(b)と(c)において腕や抗重力筋など通常とは異なる緊張のイメージ喚起が期待される.実験1の参加者は想像空間内の登場人物に対する外的視点を取るように要求された.実験2では参加者は,想像空間内の登場人物と彼ら自身を同一視することによって,内的視点をとるように要求された.想像された登場人物身体の指示された方向に存在するとされた物体の名称を問う質問に回答するまでの反応時間が測定された.実験1では姿勢(正立あるいは倒立)および方向の主効果と,緊張×姿勢×方向の交互作用が有意だった.他方実験2では,方向以外の効果は何も示されなかった.これらの結果に基づいて,想像空間における身体感覚イメージと視点の機能的関係が議論された.

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© 2011 日本認知心理学会
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