日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
大腸癌における腹腔内洗浄細胞診の意義
横溝 肇瀧井 康公
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2007 年 60 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

大腸癌手術症例868例の術中腹腔内洗浄細胞診 (以下, CY) の意義を検討した. 壁深達度では, m・sm・mp例にCY陽性例はなく, ss・a1に比べse・a2・si・ai例にCY陽性例が多かった. 腹膜播種やリンパ節転移では, その程度が高度なほどCY陽性例が多かった. 組織型では, 分化度の低いものにCY陽性例が多かった. 累積5年生存率は, CY陽性例が陰性例に比べて有意に予後不良であった. 多変量解析では, CYは予後に関わる重要な因子であった. 生存率をCYと腹膜播種 (以下, P) の組み合わせで比較すると, P陰性群とP陽性群のいずれにおいてもCY陰性の症例の予後が有意に予後良好であった. 根治度A・B例における腹膜再発を同様にみると, P陰性群とP陽性群のいずれにおいてもCY陰性例で腹膜再発が少なかった. 以上より, CY陽性例は, 進行の程度が高度なものに多く認められ, CYが重要な予後因子であることが示唆された.

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© 2007 日本大腸肛門病学会

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