60 巻 (2007) 3 号 p. 130-135
MSIはゲノムDNAの単純な繰り返し配列の反復回数の異常でありHNPCCの90%に認められる. 一方, 非遺伝性大腸癌の10~15%でも認められhMLH1 プロモーターのメチル化が深く関与している. 最近, HNPCCに合致しない若年発症のMSI陽性大腸癌の報告が散見され, 胚細胞系列のhMLH1 プロモーター領域のメチル化の関与が示唆されている. 今回, 現時点で報告されている8例の解析を行ったので報告する. 平均32歳と若年傾向を示し多重癌を4例に認めた. 6例にはHNPCC関連癌の家族歴を認めなかった. 末梢血リンパ球を含む正常細胞では, hMLH1 プロモーターのメチル化が片側のアレルにのみ認められた. 子宮癌以外の癌組織では, hMLH1 は片側アレルのメチル化と対側アレルのLOHのツーヒットで遺伝子発現を消失し発癌に関与していた. 両親, 子供, 兄弟にはメチル化は認めなかった. 若年発症型メチル化陽性MSI陽性大腸癌はMSI陽性大腸癌の特殊な一型であり, その個人において多重癌発症のリスクが高い可能性がある.