2008 年 61 巻 6 号 p. 298-302
2006年12月までに当科で手術を行った潰瘍性大腸炎(以下UC)症例902例のうち,穿孔で手術適応となった28症例につき,その臨床的特徴について検討した.炎症性腸疾患(以下IBD)における穿孔はクローン病,ベーチェット病に多いとされ,UCでは比較的少ないとされている.しかしUC穿孔症例では活動期,ステロイド大量投与症例が多く,surgical site infection(SSI)を初めとする術後合併症は高頻度に見られ,管理に苦渋した.さらに疾患の性質上,若年者が多く,QOLを考慮して可能な限り肛門温存に努めるべきであり,当科症例28例中24例(85.7%)に肛門温存手術が可能であった.