2008 年 61 巻 6 号 p. 329-332
結腸切除後の吻合部出血は稀にみられる合併症である.今回,Functional end to end anastomosis(FEEA)後の吻合部出血に,アルゴンプラズマ凝固法(APC)を用いて止血できた1例を経験したので報告する.症例は79歳,男性.下行結腸に約2cmの隆起性病変を認め,2006年2月に結腸部分切除術を施行し,FEEAで吻合した.術後11日目から下血を認めたため,下部内視鏡検査を施行.易出血性の吻合部潰瘍と診断し,出血部をAPCで焼灼止血した.以後出血することなく退院となった.FEEAの吻合部には内視鏡的に死角となる部位があり,その死角に潰瘍が発生した本症例では,非接触性で均一に焼灼止血できるAPCが効果的であった.