日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
右側結腸癌と左側結腸癌の術後1年間のQOL
角田 明良成田 和弘渡辺 誠松井 伸朗竹中 弘二中尾 健太郎草野 満夫
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2008 年 61 巻 7 号 p. 378-383

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抄録

根治度Aの手術が行われた右側結腸癌患者32例(R群)と左側結腸癌患者46例(L群)の術後1年間のquality of life(QOL)をEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer QLQ-C30(C30)を用いて前向きに調査し,両群を比較した.QOLの経時的変動は,大多数の尺度で両群が類似の傾向を示した.症状尺度の「constipation」はR群では術前値と比べて,術後4, 5, 6, 12カ月の4ポイントで有意に改善したが,L群では有意な変動はなかった.各尺度を調査ポイント毎に両群間で比較すると,「global QOL」は術後2, 4, 7, 12カ月の4ポイントでR群がL群より有意に良好であった.「constipation」は術後すべてのポイントでL群がR群より有意に不良であった.以上より,左側結腸癌患者の術後QOLは右側結腸癌患者と比較してC30の「constipation」が顕著であり,便秘が意識されることが明らかになった.

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© 2008 日本大腸肛門病学会

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