2010 年 63 巻 10 号 p. 869-874
Crohn病の腸管合併症には狭窄,内瘻・外瘻や出血などがあり,一旦生ずると多くの症例では手術が必要なため,QOLが低下する原因となっていた.近年,狭窄は内視鏡的バルーン拡張術にて手術を回避できる症例が増加している.また,外瘻は抗TNF-α抗体で約3割が閉鎖可能であるが,内瘻は狭窄をともなうことも多く効果が少ない.出血に対しても抗TNF-α抗体投与はまず試みるべき治療である.ただし,これら腸管合併症を予防するためには臨床的寛解の維持だけでは不十分で,潰瘍を治癒させることが必要である.粘膜治癒を目指すために,患者個々の病態に対する有効な薬剤を組み合わせたコンビネーション療法を行うべきである.