日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
術後2年目に肺転移再発をきたした腺腫内に発生したmicropapillary carcinoma成分を有する直腸早期癌の1例
西島 弘二宮下 知治二上 文夫西村 元一藤田 秀人
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2010 年 63 巻 4 号 p. 201-205

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抄録

症例は73歳男性.粘血便を主訴に来院し,精査にて直腸Raに径6.5cmの1型腫瘍を認め,腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.病理組織学的には大部分は中等度から高度異型の管状絨毛腺腫であり,一部に高~中分化腺癌を認めた.癌の中央部分ではmicropapillary carcinoma(以下MPC)成分を認め,粘膜下層への浸潤をともなっていた.軽度のリンパ管侵襲を認めたが,リンパ節転移や他臓器転移は認めなかった.術後約2年目に単発性肺転移を認め,胸腔鏡補助下左肺上葉部分切除術を施行した.MPCはリンパ管様の空隙に囲まれた線維血管性間質を欠く微小乳頭状癌胞巣を組織学的特徴とする癌であり,再発や遠隔臓器への転移が高頻度で,悪性度の高い組織型であることが示唆されている.大腸癌での報告は少ないが,大腸癌においてもMPC成分を有する場合は,通常型の大腸癌に比較し,悪性度が高い可能性があり,厳重な経過観察が必要であると考えられた.

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© 2010 日本大腸肛門病学会

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