63 巻 (2010) 5 号 p. 265-269
目的:直腸脱に対する会陰術式の1つであるGant-三輪-Thiersch法は,再発率が高く術後出血や直腸穿孔,Thiersch材料の感染や排便困難などの合併症が少なからず報告されている.今回Gant-三輪法の代わりにALTA治療を行い,Thiersch材料には伸縮性ポリエステルテープを用いた「ALTA-Thiersch法」を行った.対象:2005年10月から2009年5月に同法を行った完全直腸脱13例.方法:脱出直腸の口側から粘膜下層に少量ずつALTAを注入し,肛門の前後に小切開をおき,テープを肛門管外周に環状に通して両端の紐を結紮した.結果:手術時間は平均38分,合併症は便秘5例,肛門痛,蕁麻疹,創感染,発熱が各1例.全例で直腸脱は改善したが,3例で怒責時の粘膜脱出が残存した.結語:ALTA-Thiersch法は安全・簡便に施行でき,脱出の還納効果も十分に期待できる.