2011 年 64 巻 2 号 p. 57-61
目的:大腸癌化学療法における胸部留置型中心静脈カテーテル法(CVリザーバー)の長期成績を検討した.対象:胸部留置型CVリザーバーを用いて化学療法を行った進行再発大腸癌81例を対象とした.化学療法は全例がmFOLFOX6/FOLFIRI(+ベバシズマブ)を施行されていた.手技:局所麻酔下,皮下ポケット作成を先行し,その後,鎖骨下静脈穿刺をリアルタイム超音波誘導下に行った.結果:累積観察期間35,705日間.平均手術時間30分.成功率98.8%.術中合併症なし.ポート留置後合併症は,皮下ポケット感染1例,上大静脈血栓症1例,ポート反転2例で,1,000カテーテル留置期間あたりの発生頻度はそれぞれ,0.03,0.03,0.06であった.ポート除去は1例(1.2%),ポート再留置は2例に施行した.結論:大腸癌化学療法におけるリアルタイム超音波誘導下胸部留置型CVリザーバーは安全で,長期成績も良好であった.