日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
続報 神経因性骨盤臓器症候群(NIS)537例の治療とその成績
高野 正博緒方 俊二野崎 良一久野 三朗佐伯 泰愼福永 光子高野 正太田中 正文眞方 紳一郎中村 寧坂田 玄太郎山田 一隆
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2011 年 64 巻 4 号 p. 201-213

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抄録

陰部神経に沿って圧痛ある硬結が存在し,肛門痛,括約不全,排便障害,腹部症状,腰椎症状を訴える症例がある.これらの症候の合併率は85.1%と高く,仙骨神経と骨盤内臓神経の両者の障害が関与していることがわかり,神経因性骨盤臓器症候群(Neurogenic Intrapelvic Syndrome,NIS)と名付けた.
この症候群と診断した537例に,病態に応じて,肛門痛には主としてブロック療法,括約不全にはバイオフィードバック療法,腸管の運動不全には薬物療法,神経障害には理学療法と運動療法,また症候群に附随する精神障害には心理療法を組み合わせて治療した.
その結果,肛門痛74.2%,括約不全83.3%,排便障害78.1%,腹部症状81.5%,腰椎症状66.0%で症状が改善し,これらの治療法は治療効果が高率に得られる適切なものであると判断した.多症候を有する症例でもそれぞれの病態に対する治療法を組み合わせ,総合的な治療を加え行うことによって高い効果が得られた.

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© 2011 日本大腸肛門病学会

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