日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
クローン病発症から15年を経てColitic cancerを併発した1例
柴田 佳久岡村 正造
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 64 巻 8 号 p. 516-521

詳細
抄録

クローン病に併発する悪性疾患の報告は増加している,しかしながら,クローン病に合併する腸管狭窄や瘻管形成のため,癌発生の早期診断は困難である.今回,クローン病の発症から15年を経て直腸癌を併発したと考える症例を経験した.内科的治療が行われていたが,発症後15年で直腸肛門周囲膿瘍を形成すると共に急速に直腸狭窄が進行した.内視鏡的に狭窄拡張術を行ったが効果を認めなかった.高度狭窄にて内視鏡観察が困難なため,colitic cancerを疑い透視下生検を行ったところ,低分化腺癌と診断された.腹会陰式直腸切断術を行い,術後抗癌剤治療を加えたものの早期に再発し予後不良であった.クローン病患者に対するサーベイランスを含む,併発癌に対し治癒可能な早期での発見方法を考えることが必要である.

著者関連情報
© 2011 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事
feedback
Top