日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
大腸癌手術症例における血清p53抗体値の検討
岩谷 昭瀧井 康公
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2012 年 65 巻 5 号 p. 249-252

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抄録

目的:大腸癌手術症例において血清p53抗体を測定し,腫瘍マーカーとしての臨床的意義を検討した.対象および方法:2002年3月から2004年12月までの間で,術前に血清p53抗体が測定された大腸癌手術症例450例について検討した.結果:陽性率は大腸癌全体でp53抗体20.7%と,CEAには劣るもののCA19-9と同程度だった.p53抗体のstage別陽性率はI:15.2% ,II:22.8%,III:24.6%,IV:31.7%であり,stage IではCEAより陽性率が高かった.p53抗体とCEA,CA19-9との間に相関関係はなかった.p53抗体値が治癒切除後も下降しなかった症例は10例あり,そのうち9例は再発をきたした.結論:血清p53抗体は,早期発見や術後モニタリングを行う上で,新たな大腸癌の腫瘍マーカーとして,有用である可能性がある.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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