日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
日本産のクシャーラ・スートラ(金沢糸1号)にて治療した毛巣洞の一例
畑 嘉高増田 芳夫
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 66 巻 3 号 p. 183-187

詳細
抄録

今回我々は,日本産のクシャーラ・スートラ(金沢糸1号)を使用した毛巣洞の治療を行い良好な結果を得たので報告する.
症例は35歳男性,肛門部腫脹を主訴として来院した.1時から3時および7時方向に肛門周囲膿瘍を認めた.仙骨部に膿瘍の自潰を認めた.
3時と7時に一次口を認め,低位筋間痔瘻と診断した.仙骨部の膿瘍は肛門および痔瘻との交通を認めず,毛巣洞と診断した.
痔瘻はシートン法および金沢糸1号を用いたシートン法にて治療し,痔瘻の術後3日後に毛巣洞に対し金沢糸1号を用いたシートン法を施行した.61日間で8回の糸交換を行った.その経過中に瘻孔より尾側の正中線上の毛巣洞に新たな瘻孔を二ヶ所認めたため各々金沢糸1号を用いたシートン法を施行した.各々15回,10回の糸交換を行った.術後91日目に仙骨部より毛髪の排出を認めた.術後176日目に上皮化を認め治癒とした.
術後7年まで経過観察し再発は認めなかった.

著者関連情報
© 2013 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top