抄録
高齢者に対する手術では根治性と同時に主要臓器機能低下を考慮した合併症対策が必要である.著者らは,80歳以上の大腸癌症例の手術成績と長期予後を検討した.1992年から2010年の間の大腸癌切除例3,267例を80歳以上(O群),80歳未満(Y群)に分け治療成績を比較した.O群238例,Y群3,029例で,O群に補助化学療法施行例と腹腔鏡手術例が少なかった.術中出血量はY群で多く,手術時間はY群で長かった.術後合併症では,呼吸器合併症がO群に多かった.O群における合併症発生に関連する因子の多変量解析では,腹腔鏡手術例で合併症が少なかった.長期成績では全生存率はStage IIIbを除く各StageでY群が良好であったが,無再発生存率ではStage IIIaのみで差があった.再発に対する治療では,O群で緩和ケアが多く,切除術施行例が少なかった.総体的にみてO群の短期成績は良好であり,腹腔鏡手術が合併症減少に有用であることが示唆された.