日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
大腸癌術後にPET偽陽性を呈し再発を疑ったSchloffer腫瘍の2例
太田 裕之望月 慶子塚山 正市川浦 幸光園田 寛道清水 智治谷 徹
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2014 年 67 巻 5 号 p. 336-340

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抄録

大腸癌の術後経過中にPET検査で陽性を呈し再発腫瘍を疑った縫合糸(Silk)が原因の異物肉芽腫(Schloffer腫瘍)の2例を経験したので報告する.【症例1】62歳,女性でS状結腸癌に対してS状結腸切除術を施行した.術後8ヵ月に癒着による絞扼性イレウスをきたし小腸部分切除術を施行した.初回手術後2年のCTで大動脈分岐部近傍にリンパ節再発を疑う腫瘤を認め,PET検査においても同部位にFDG集積を認めた.リンパ節再発の術前診断で,硬く腫大した腫瘤と一塊となった小腸間膜を含めて小腸部分切除術を施行した.病理診断では縫合糸による異物肉芽腫の診断であった.初回手術後4年を経過し再発徴候を認めない.【症例2】77歳,女性で上行結腸癌と胆石症に対して結腸右半切除術および胆嚢摘出術を施行した.術後1年のCTにおいて肝S4に転移を疑う結節を認め,PET検査においても同部位にFDG集積を認めた.肝転移の術前診断で,肝S4部分切除術を施行した.病理診断では縫合糸による異物肉芽腫の診断であった.初回手術後1年6ヵ月を経過し再発徴候を認めていない.

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© 2014 日本大腸肛門病学会

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