日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
成人腸重積─救急病院において経験した21例における臨床病理学的および緊急性に関する検討─
太田 智之佐藤 龍巽 亮二坂本 淳古川 滋折居 史佳前本 篤男笠井 章次北川 真吾河野 透
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2015 年 68 巻 3 号 p. 151-156

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抄録

【目的】当院で経験した成人腸重積21例の臨床病理学的特徴と診断から治療にいたる時間経過から緊急性の検討を行った.【結果】主訴は腹痛を52%,血便を28%に認めたがイレウスや腫瘤触知は10%と少なく,病悩期間は半数以上が亜急性から慢性の経過であった.発生部位は大腸型57%,回盲部型38%であった.原因疾患は53%が大腸癌であった.治療は12例で外科手術,9例に保存的治療が行われ,超高齢でBSCを行った2例以外で全例腸重積は改善した.手術した12例において緊急手術を行った3例を含め全例に腸管壊死例はなく緊急性は低かった.手術した大腸癌9例では0-I型もしくは1型の隆起癌が6例,stage0-IIに留まるものが7例と多かった.【結論】成人腸重積21例の検討では大腸型および回盲部型が多く,半数が大腸癌であった.また本検討では緊急性を要する症例はなく待期的治療で良いものが多いと考えられた.

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© 2015 日本大腸肛門病学会

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