日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
下大静脈腫瘍栓を伴う大腸癌腎転移に対して下大静脈合併切除を行った1例
八木 寛山崎 俊幸岩谷 昭眞部 祥一
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2015 年 68 巻 7 号 p. 501-505

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抄録
大腸癌腎転移に下大静脈腫瘍栓を合併した症例に対し腎摘出術,および腫瘍栓除去術を施行した1例を報告する.症例は70歳女性,2010年4月に上行結腸癌に対し,腹腔鏡下右半結腸切除術を施行し,最終診断はpSI(十二指腸)N3H0P0M0,pStageIIIbであった.外来にて術後補助化学療法を行っていたが,2011年8月に右腎下極に軟部影が出現した.同年10月のCTで軟部影はさらに増大し,下大静脈には腫瘍塞栓が出現した.腎生検の結果,右腎の軟部影は大腸癌腎転移と診断されたため,2012年3月に右腎摘出術,下大静脈壁切除,腫瘍栓除去術を施行した.術後6ヵ月で肺,傍大動脈リンパ節,腹壁再発を認め,2013年3月癌性腹膜炎のため永眠された.大腸癌の孤立性腎転移に下大静脈腫瘍栓を伴う症例は極めて稀であり,手術を含めた集学的治療が可能であったため報告した.
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© 2015 日本大腸肛門病学会

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