大腸癌の治療は病期によって規定されており,治療方針を決定するためにも正確な病期診断が重要である.特に直腸癌においては,切除範囲が大きくなれば,排尿や性機能障害が出現し,不適切な機能温存手術を行えば,局所再発の可能性が懸念される.不十分な術前検査で,手術の適応を誤り,合併症や術後局所再発を増やしてはならない.正しい診断がなければ正しい治療は得られないからである.このたび,本邦で新しく導入されたPET/MR一体型装置により,直腸癌の治療に有用な情報である壁深達度,直腸間膜内リンパ節転移,側方骨盤リンパ節転移などの診断精度の向上が期待される.