日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
骨盤直腸窩痔瘻の形成における2つの経路
加川 隆三郎荒木 吉朗友井 正弘
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2016 年 69 巻 2 号 p. 81-89

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抄録

[目的]骨盤直腸窩痔瘻の形成の経路をMRI所見から明らかにすること.[対象と方法]7年間に当院で,ジャックナイフ位MRIを撮影後,痔瘻根治手術を施行した骨盤直腸窩痔瘻39例について検討した.[結果]骨盤直腸窩痔瘻の進展様式は7パターンであったが,「肛門挙筋穿破型」10例と「筋間上行型」29例の2つに大別することができた.肛門挙筋穿破型は再手術例が多く,ほとんどは深外肛門括約筋内に原発巣膿瘍を認めた.筋間上行型は原発口から細い瘻管が内外肛門括約筋間を上行,原発巣膿瘍を認めないものもあった.直腸瘻は筋間上行型のみに認めた.[考察]筋間上行型が骨盤直腸窩痔瘻の本態であり,肛門挙筋穿破型は坐骨直腸窩痔瘻の上方進展と考えられた.この2つはまったく異なった病態である.[結論]骨盤直腸窩痔瘻は,その形成様式から「肛門挙筋穿破型」と「筋間上行型」に分類し,それに基づいた手術を施行する必要がある.

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© 2016 日本大腸肛門病学会

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