日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
直腸切断術後の会陰創管理における陰圧閉鎖療法の有用性
金子 奉暁船橋 公彦後藤 麻祐吉田 公彦小池 淳一栗原 聰元塩川 洋之牛込 充則長嶋 康雄鈴木 孝之甲田 貴丸金子 弘真
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2016 年 69 巻 7 号 p. 367-373

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抄録

背景:腹会陰式直腸切断術(APR)や骨盤内臓器全摘術(TPE)における会陰創の合併症の発生率は高い.陰圧閉鎖療法(NPWT)は,閉鎖環境下に陰圧をかけて創傷治癒を促進する療法であり,難治性の創部に用いられ良好な成績が得られている.
目的:NPWTの会陰創合併症防止に対する効果を検討する.
対象と方法:2014年9月から2016年1月に,APR,TPE術後の会陰創管理にNPWTを使用した16例を対象に,患者背景および創部合併症の発生率をNPWT未施行で管理した111例と後向きに比較検討した.
結果:NPWT群で,術前化学療法と腹腔鏡手術の割合が高く,出血量は少なかった.会陰創合併症は,NPWT(-)群で,11例(10%)に創離開,36例(32.4%)に創感染を認めたが,NPWT群では,創離開はなく,創感染も2例(12.5%)であった.
結語:NPWTは会陰創の合併症防止に有効である可能性が示唆された.

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© 2016 日本大腸肛門病学会

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