日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
臨床研究
痔瘻で初発したクローン病症例に対し“Top down療法”は有効である
三枝 直人三枝 純一横山 正大澤 高明石黒 成治篠崎 大菊池 学横山 泰久
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 69 巻 8 号 p. 424-429

詳細
抄録

[目的]痔瘻で初発したクローン病(CD)症例に対するtop down治療の有効性を検証する.[対象・方法]CD確診から1年未満で生物学的製剤(BIO)を投与された21例を後ろ向きに検討した.腸管病変は,びらん・小潰瘍を早期,縦走潰瘍・敷石状外観・狭窄を進行病変とした.[結果]平均痔瘻発症年齢は25.1歳,平均診断時年齢は27.0歳,診断からBIO導入までの平均期間は0.4年,BIO導入から痔瘻および腸管病変の転帰確認までの平均期間はいずれも2.5年であった.腸管の早期病変例は8例(38.1%),進行病変例は13例(61.9%)で,予後調査時に11例(52.4%)がseton留置中で,寛解は痔瘻が20例(95.2%),腸管病変は9例(42.9%)であった.[結論]初発痔瘻からCDを疑った場合,腸管病変は早期であることが多く,seton併用下の早期BIO導入により高率に寛解導入が期待できる.

著者関連情報
© 2016 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top