2017 年 70 巻 2 号 p. 68-72
機能性直腸肛門痛に対するプレガバリンの効果とその効果に関与する因子を検討した報告はないので,レトロスペクティブに検討した.<対象と方法>対象はプレガバリンで治療を行った機能性直腸肛門痛患者21名(男性9名,女性12名,平均年齢70.0±8.7才)であった.初診時問診票と診療録の記録から直腸肛門痛の持続期間,誘因,程度,便秘,下剤使用,腰痛,うつ病,肛門手術の既往などを調べた.プレガバリンは25~75mg/日で開始し,漸増し50~450mg/日で維持していた.治療効果は患者の主観的評価で判断した.<結果>13名(有効群,62%)で改善がみられた.有効群と無効群に分けて検討したところ,うつ病が無効群に有意に多く(P<0.05),肛門手術既往のあるものが有効群に多かった(P<0.05).<考察>機能性直腸肛門痛にプレガバリンが有効であった.うつ病がないもの,肛門手術の既往がある症例でより有効であった.