2017 年 70 巻 2 号 p. 78-80
症例は56歳,女性.直腸脱を自覚した4ヵ月後から排尿障害が出現し,近医で神経因性膀胱と診断された.直腸脱の自覚10ヵ月後に当院を受診し滑脱ヘルニア型完全直腸脱と診断した.腹腔鏡下直腸固定術を施行したところ,直腸脱の改善とともに排尿障害の改善が得られた.術後6ヵ月が経過した現在,直腸脱・排尿障害ともに再発を認めていない.本症例では,直腸脱に対し経腹的アプローチを採用することにより,骨盤内臓器の位置関係が是正されることで,排尿障害が改善された可能性が示唆された.