日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
女性専門肛門科外来における大腸癌の発見率および特徴
野澤 真木子
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2017 年 70 巻 3 号 p. 156-161

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抄録

【はじめに】一般的に女性は肛門科外来受診を躊躇する傾向があり,これが大腸癌の早期発見を遅らせる一因となっている可能性がある.そこで女性専門肛門外科・胃腸科を標榜する当院の大腸癌症例について検討した.【対象・方法】2008年4月から2014年12月までに当院を受診し発見された大腸癌を対象とした.【結果】発見された癌は,大腸癌105例(結腸癌37例,直腸癌68例)と肛門管癌8例の合計113例(26~82歳,平均54.0±11.6歳,初診患者の0.47%)であった.癌発見率は50歳未満(0.20%)が50歳以上(1.87%)より低率であったが,50歳未満の癌の80%はsm以深癌で,また47.5%はstageIII以上であった.癌の91.2%はS状結腸より遠位に存在し,69.9%が初診時のS状結腸内視鏡検査(以下SS)で発見されていた.【まとめ】女性専門肛門科外来で発見される50歳未満の若年女性の大腸癌は浸潤癌である傾向があることから肛門科外来ではSSを積極的に実施することが大腸癌の早期発見に繋がるものと考えられた.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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