日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
大腸癌脳転移のガンマナイフ後症候性脳放射線壊死に対してbevacizumabが有用であった1例
久光 和則
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キーワード: bevacizumab, 脳放射線壊死
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2017 年 70 巻 3 号 p. 177-181

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抄録

症例は71才女性.切除不能直腸S状部癌に対して化学療法施行後best supportive careを行っていた.左上下肢麻痺を発症し,頭部MRI検査で右側脳転移を認め,緩和目的にγナイフ治療を施行した.一旦左側麻痺の改善傾向を認めたが治療1ヵ月後に麻痺の増悪を認めた.脳MRIで症候性脳放射線壊死と診断し,電解質加高張グリセリン液およびステロイド投与で症状改善効果を得られないためBevacizumab 5mg/kg,2週毎(少量のcapecitabine併用)を投与開始した.初回投与後5日後には臨床症状改善効果を認め,3コース後にはほとんど麻痺を認めず,脳MRI検査上も著明な浮腫改善効果を認めたため,計6コースを行った.大腸癌脳転移に対するγナイフ治療後の症候性脳放射線壊死に対してbevacizumabを投与し著明な症状緩和効果を得られた症例を経験したので報告した.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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