日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
Gant三輪法による直腸脱術後に直腸穿孔による腹膜炎を併発した2例
相川 佳子松田 聡田中 荘一川上 和彦中井 勝彦木村 浩三野中 雅彦尾田 典隆新井 賢一郎金子 奉暁
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 70 巻 7 号 p. 475-480

詳細
抄録

Gant三輪法+Thiersch法(以下GMT)は簡便で安全に行える手術とされる.GMT後直腸穿孔した2例を経験したので報告する.【症例1】75歳女性.再発直腸脱に対して2007年1月GMT施行.第6病日ショック状態となり,緊急手術で直腸に穿孔部を認めた.洗浄ドレナージ後,人工肛門造設.【症例2】93歳女性.再発直腸脱に対して2013年8月GMT施行.第2病日,排便後腹痛出現.直腸穿孔の診断で緊急手術施行.開腹所見で直腸前壁に穿孔部位を認めた.穿孔部縫縮し人工門造設.
当院でのGMT後直腸穿孔の発生率は0.5%,再発直腸脱症例に限ると2.3%である.医中誌検索で本邦報告例は更に3例認める.粘膜縫縮の部位,結紮深度,密度や血流の関係で,重篤な合併症である直腸穿孔をきたす可能性があることを念頭に置き,手術を行う必要がある.また,症例毎に最も安全で再発率の少ない手術を選択することが重要である.

著者関連情報
© 2017 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top