2017 年 70 巻 8 号 p. 516-521
背景:骨盤内蔵全摘術(TPE)は一般的に腸管ストーマと尿路変更術のdouble stomaを必要とし,術後のQOLを低下させる.機能温存と根治性の両立は重要な課題である.尿路系臓器浸潤を有する局所進行直腸癌患者に対してStuder法による尿路再建を用いたstoma less TPEを施行した3例を経験したので報告する.対象:2013~2014年に3名に施行した.手術操作は,尿道を前立腺尖部処理後に離断し,直腸も肛門管直上または肛門管内で切離,腫瘍を十分なmarginを確保し摘出後Studer法による膀胱再建と肛門管内吻合,一時的回腸人工肛門造設術を施行.術後24~41ヵ月生存中で1例に術後6ヵ月目に肺転移を認め切除された.人工肛門閉鎖後,排便,排尿機能は良好に保たれている.結語:Studer法を用いたstoma less TPEは根治性と患者背景などの適応を考慮すれば有効な治療法と考えられた.