日本大腸肛門病学会雑誌
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主題I:大腸癌に対する化学療法の進歩と最近の話題
I.切除不能大腸癌のフロントライン(1st
島田 安博
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2018 年 71 巻 10 号 p. 371-379

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抄録

切除不能大腸癌に対する一次治療の最近の進歩について概説した.FOLFOX,FOLFIRIに分子標的薬の併用が基本であるが,原発部位により予後が異なること,併用する分子標的薬により予後が影響を受ける可能性があることが報告されているが,臨床導入についてはさらなる検討が必要である.FOLFOXIRI+BEVについては高い有効性が示されているが,高度の血液毒性を伴うため今後適応となる対象の絞り込みや投与量の検討が必要である.長期予後の改善とともに,一次治療での臨床効果をいかに長期に維持するかが必要であり,治療法変更については,画像診断,腫瘍マーカーのみならず,臨床症状の変化にも注意して,適切な時期に治療変更を行うことが重要である.化学療法の進歩が予後改善に貢献したことは事実であり,新薬も含めた新しい治療開発とともに,現在の治療内容に精通し,最大限の効果を目指すことが必要である.

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© 2018 日本大腸肛門病学会

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