日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
クローン病術後に合併した急性感染性電撃性紫斑病の1例
笠井 章次唐崎 秀則前本 篤男古川 滋伊藤 貴博河野 透
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 71 巻 2 号 p. 91-96

詳細
抄録

急性感染性電撃性紫斑病(acute infectious purpura fulminans:AIPF)は感染に惹起され急速に進行拡大する末梢の紫斑,皮膚壊死を特徴とする疾患である.死亡率は30%以上と高率で,救命し得た例でも最終的に四肢切断を要することが多い重篤な病態である.われわれはクローン病腸管切除手術後の重篤な麻痺性イレウス治療中にCitrobacter freundii菌血症からAIPFを発症したが,複数科の協力による集中治療で救命し得た40歳代女性の1例を経験したので報告する.クローン病患者は易感染状態であり,また血栓性イベントの高リスク状態でもあることから,AIPFを発症しやすい条件下にあるといえる.現時点で自験例以外にAIPFを合併した症例の報告はないが,クローン病の管理において知悉すべき病態であり,その治療においては複数科との協力の下,集学的に行うことが重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2018 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top