日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
潰瘍性大腸炎に発生した虫垂原発腺扁平上皮癌の1例
大津 将路大熊 誠尚衛藤 謙諏訪 勝仁池上 雅博矢永 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 71 巻 5 号 p. 216-221

詳細
抄録

30歳代男性,10年来の潰瘍性大腸炎(全大腸炎型)に対し内科的治療を受け寛解状態を維持していた.右下腹部痛を主訴に当院を受診し,急性虫垂炎の診断に至った.保存的加療を行い,軽快退院した.4ヵ月後,右下腹部痛・背部痛を主訴に再受診した.腹部CT・MRIでは回盲部に右水腎症を伴う70×50mm大の分葉状腫瘤を認めた.大腸内視鏡検査では軽症の潰瘍性大腸炎所見に加え,盲腸の壁外性圧迫による変形が認められた.虫垂開口部は確認できなかった.超音波内視鏡検査では壁外腫瘍の盲腸浸潤が疑われた.盲腸粘膜の生検では異型性や悪性所見は認めなかった.以上より虫垂腫瘍盲腸・右尿管浸潤と診断し手術を施行した.病理結果で虫垂腺扁平上皮癌(pT4bpN2 (5/29) cM0, fStage IIIb)と診断された.潰瘍性大腸炎に合併した虫垂腺扁平上皮癌は極めて稀であり,PubMed,医中誌を用い1975年から2017年の期間で検索した限り,本症例は初めての報告である.

著者関連情報
© 2018 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top