2019 年 72 巻 8 号 p. 489-493
人工肛門閉鎖術は術後合併症の頻度が高く,そのほとんどは手術創部感染(Surgical site infection,以下SSI)である.当院では,SSI対策として術後早期より創部洗浄を施行している.今回,人工肛門閉鎖術を施行した65例を対象として,創部洗浄とSSIの発生について検討した.SSIは7例(10.8%)に認められた.また,術後早期から積極的に創部洗浄を施行した34例では,SSIは1例(2.9%)であったのに対して,創部洗浄を施行しなかった31例では6例(9.4%)と,発症率に有意差が認められた(p=0.033).人工肛門閉鎖術後に,術後早期より創部洗浄を施行することは,創部感染の減少に寄与する可能性がある.