日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
上行結腸神経鞘腫の1例
操 佑樹市川 賢吾太和田 昌宏久米 真
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キーワード: 神経鞘腫, 大腸, 粘膜下腫瘍
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2019 年 72 巻 8 号 p. 503-508

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抄録

上行結腸神経鞘腫を経験したので報告する.症例は59歳の女性.人間ドックを契機にして上行結腸に約5cm大の腫瘤性病変を指摘された.下部消化管内視鏡検査では同部位に粘膜下腫瘍を認めboringbiopsyを施行されたが確定診断には至らなかった.GISTを含めた粘膜下腫瘍の診断で腹腔鏡下回盲部切除術ならびに2群リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査では,固有筋層を主体に紡錘形の腫瘍細胞が柵状・束状に増殖し,S-100蛋白陽性,α-SMA・CD34・c-kit陰性であり上行結腸神経鞘腫と診断された.大腸神経鞘腫は大半が良性と考えられ,術前に確定診断されればリンパ節郭清は不要であるため,可能な限り粘膜下生検を試みるべきである.しかし術前に確定診断に至らなければ,悪性腫瘍を念頭に置いてリンパ節郭清を伴う術式選択が妥当と考えられる.

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© 2019 日本大腸肛門病学会

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