2021 年 74 巻 2 号 p. 76-81
右側結腸の著明な拡張を伴う閉塞性脾彎曲部横行結腸癌に対して,緊急腹腔鏡補助下双孔式回腸人工肛門造設術+経人工肛門的減圧チューブを施行し有用であった症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は83歳男性.便潜血反応陽性を契機に診断された横行結腸癌に対して手術を予定していた.術前検査で著明な右側結腸の拡張を認め,腹痛を伴っていたため閉塞性横行結腸癌と診断した.緊急双孔式回腸人工肛門造設術および経人工肛門的減圧チューブ留置による口側腸管の減圧処置を施行後,待機的に減圧術後16日目に腹腔鏡補助下結腸左半切除術を施行した.閉塞性大腸癌に対する緊急での原発切除は高い周術期死亡率が報告されており,減圧後に待機的に原発切除を施行することが望ましいとされる.回盲弁と腫瘍の間の結腸の減圧に対して経人工肛門的減圧チューブによる緊急減圧が有用であった.