2021 年 74 巻 8 号 p. 482-490
Filiform polyposisを伴った潰瘍性大腸の2切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
症例1は25歳,男性.1年間の潰瘍性大腸炎の治療中に貧血,低栄養が遷延し,次第に体動時の息切れを認め,緊急入院となった.大腸内視鏡検査で盲腸から横行結腸,およびS状結腸に広範なinflammatory polyposisを認めた.通過障害を伴い,内科治療で改善せず,大腸全摘術を施行した.
症例2は54歳,女性.13年間の潰瘍性大腸炎の治療経過中に再燃と寛解を繰り返していた.腹痛,下痢,血便が増悪したため,緊急入院となった.大腸内視鏡検査で盲腸から横行結腸にinflammatory polyposisによる腸管狭窄を認めた.内科治療で改善せず,結腸亜全摘術を施行した.
病理では,いずれも血管拡張と粘膜下層の線維筋増生を認め,filiform polyposisと診断した.