日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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Bromelainの抗炎症性効果に対する臨床的研究
痔核外科治療後のdouble blind test
吉雄 敏文柳田 謙蔵西谷 亮一郎松島 善視衣笠 昭平田 洋三宇都宮 利善坂部 孝加藤 克彦
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1975 年 28 巻 3 号 p. 243-278,297

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抄録

痔核外科治療後の患者161例(結紮切除群128例,凍結治療群32例)に対して,bromelain 1日6錠,7日間投与のdouble blind studyを施行した.
術後の炎症症状である腫脹,疼痛,分泌物,出血に対するscoringを施行して,集計分析を行った結果,次のような結果を得た.
1)有意差のあるもの
a)結紮切除群:分泌物7日目,分泌物10日目,合計点10日目,疼痛1日から3日への改善症例数
b)凍結治療群:出血3日目,出血3日から5日への改善度
2)有意差に近いもの
a)結紮切除群:疼痛10日目,分泌物合計,合計点7日目
b)凍結治療群:疼痛3日から5日への改善度,分泌物1日から3日への改善度
この結果,本剤を主軸とする療法は,痔核手術後の処置として好ましく,要に応じて抗感染薬ないしは鎮痛薬その他の対症療法を併用すればよいと考えられる.
本剤のdouble blind studyを行ううえでの,痔核外科治療後の患者という対象の適否性やparameterの選択の仕方などに考察を加えた.

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