日本大腸肛門病学会雑誌
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内瘻を形成した結腸癌の6例
庄司 宗弘竹井 信夫山口 敏朗田伏 克惇大沢 祐三勝部 宥二森本 悟一浦 伸三勝見 正治
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1978 年 31 巻 2 号 p. 87-92,173

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抄録

我々の教室に於ける昭31.1より昭52.9迄の大腸癌手術症例数は383例で,結腸では特に左右差はない.一方,結腸癌の合併症として,狭窄,穿孔,腸重積等があげられるが,その内特に稀とされている内瘻形成症例(いずれも他部消化管への内瘻)を6例経験したので報告する.症例は結腸胃瘻,結腸空腸瘻,結腸回腸瘻及び結腸結腸瘻で,全例に切除術が施行された.内瘻を形成した腫瘍は,いずれも所謂左半結腸に認められ,諸家の報告をみても左半結腸癌に内瘻形成が多い傾向を示す.切除標本では,全例が潰瘍型の腫瘍の中央部で他消化管と内瘻を形成しており,又その組織所見では,比較的高分化のものが多く,周囲リンパ節への転移はほとんど認められなかった.内瘻の発生機序につき,無血管性壊死が云われているが,随伴する炎症,解剖学的位置関係,腫瘍の限局性浸潤等が誘因となる様に思われる.予後の面からみても比較的良好で,最高生存例は9年4カ月目で健在であり,積極的に切除する様心がけるのが望ましいと思われる.

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