1978 年 31 巻 2 号 p. 97-99,174
癌と結核の合併は,種々の臓器にみられ,特に皮膚,喉頭,肺などでは屡々認められる.しかしながら,大腸における癌と結核の合併は比較的稀であり,両者の因果関係については,結核が癌に先行するとの考え方1)2)と,結核があると,これが癌と拮抗し,癌の発生頻度を低くするとの考え方がある3),本邦では,最近20年間に4例の報告があるにすぎないのは4),両者が拮抗するかの印象を与える.
又,消化管の癌が他臓器へ浸潤し,大きな腫瘤を形成することは屡々認められるが,屡孔をつくって交通することは,比較的稀で,横行結腸癌と十二指腸の問の屡孔形成も報告は少い.
私共は,横行結腸癌に結腸結核と十二指腸屡を合併した極めて興味ある症例を経験したので報告する.