日本大腸肛門病学会雑誌
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形態学的にみた乳児痔瘻について
冨士 原彰宮崎 治男秦 堅
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1978 年 31 巻 5 号 p. 432-437,520

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抄録

乳幼児痔瘻は性別,発生部位,発症時期等が成人に比して特異的であると諸家によって報告されているが,その病因については,1)解剖学的因子にあるとする説や,2)生理学的因子,3)その他の面から論じられているが今尚明確ではない.我々は目本人の肛門部について形態学的研究を行って来たが,此の面から我々の経験した39例乳幼児,小児の痔瘻を検討した.肛門小窩,肛門腺管及びこれに連る肛門腺,内外肛門括約筋,連合縦走筋,上皮下筋線維群等について検討したが,形態学的に何ら男女差を認めなかった.この点から痔瘻発生の原因が解剖学的因子にあるとする説に懐疑的にならざるを得ない.
我々は乳児痔瘻患者に側方部が前後連合部よりおむつかぶれが目立つことから,新生児の肛門部の細菌学的検査を行ったところ,男女差に明らかな差がみられた.この点に原因を求めた方が妥当であると考えている.

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