日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の治療:治療方針
吉田 豊金城 福則
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1978 年 31 巻 6 号 p. 553-557,633

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抄録

潰瘍性大腸炎の治療方針は以下の3点に基づいている。すなわち,1)本症は大腸の慢性炎症であり,大腸が過敏な状態にある.2)本症の発生病理の一部に免疫学的機序が関与している.3)一部の重症例や重大な合併症のある症例は外科的治療の対象となる.実際の治療は一般療法として心身の安静,腸管の安静,食餌療法,全身状態の改善を行い,薬物療法は重症度に応じた治療内容が決められている.すなわち,軽症・中等症にはまずサラゾピリン,ステロイド注腸の順に治療を試み,これらの無効例と重症例に対してはステロイドの経口投与を行う。電撃型には絶食の上経静脈栄養を行い,ステロイドや抗生物質を血管内投与する.無効例は速かに外科治療を行う.内科的治療が当初より期待できないか,行っても改善のないものが外科治療の適応であり,その転換の時期の早いものほど治療成績がよい.緩解維持療法としては6ヵ月以上のサラゾピリン投与を行う.

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