家族性大腸ポリポージスは,診断学の進歩により,最近多くの報告例がみられるようになった。自験例2例(うち1例は,Gardner症候群)ならびに文献的考察から本症の診断ならびに治療方針について,次の結論がえられた。
1)本症は,比較的若年層に多発し,消化管に多数のポリープを認め,家族性発生,高い癌化率を有する疾患である。従って消化管に多数のポリープを認めたときには,先づ本症を念頭におくことが肝要である。
2)最終的には,大腸全摘術を施行する場合が多いが,現段階では内視鏡的polypectomyが容易かつ安全に行なえるので,まつこれを施行し,病理組織学的検査で癌化の徴候があるときには,大腸全摘術が適応となる。