日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎
経過観察よりみた直腸炎型
棟方 昭博成田 和義佐野 正明土田 成紀福士 道夫金城 福則相沢 中吉田 豊田島 強
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1980 年 33 巻 3 号 p. 228-232,290

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抄録

教室での過去15年間での初回診断時直腸炎型の潰瘍性大腸炎は38例で,緩解後も外来でfollow-up可能であったのは21例であった.経過観察期間は1年以上5例,2年5例,3年4例であり,5年以上経過した症例は7例であった.病変範囲が拡大したのは全大腸炎型と左側大腸炎型とに各々1例,計2例9%で残りの19例は病変範囲は殆んど変化しなかった.尚病変範囲の決定は注腸X線及び通常の大腸ファイバースコープを併用したが,色素散布や拡大内視鏡は施行しなかった.次に全大腸炎型及び左側大腸炎型で2年以上経過をみた22例の病変範囲の変化では,3例14%が直腸炎型で再燃した.本症では病変範囲に変化をきたすことは少ないが,稀に急激に全大腸炎型に移行することもあり,治療やfollow-upに際して留意すべき点であることを症例を呈示しながら報告した.

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