1981 年 34 巻 6 号 p. 660-668
下部消化管大量出血例の診断と治療について自験例24例を中心に検討した.出血部位の診断には,直腸鏡と血管造影法が最も有用で,出血部位が確認された際にはこれらを用いて止血処置を行なうことも可能であった.
治療は手術的療法が原則であるが,緊急手術に伴なう危険や,前処置のない腸管の手術を避けるべく,可能な限り待期的手術に委ねるようにつとめている.そのために,直腸タンポナーデ,血管造影手技などを用いた非手術的止血処置を試み,良好な結果のえられた例も経験している.