日本大腸肛門病学会雑誌
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Atropine, GastrinおよびProstaglandin Fの直腸肛門内圧におよぼす影響
住友 健三長崎 彰林田 裕池田 恵一
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1984 年 37 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

直腸肛門内圧において, 薬物による影響を検討した報告は少ない.
今回, 雑種成犬を用いてopentip法にて直腸肛門内圧を測定し, atropine, gastrin, prostaglandin F2αを投与して, 直腸肛門内圧に与える影響を検討した.
その結果, 直腸圧はgastrhl, prostaglandin F2αにより上昇し, atropineでは変化がなかった.肛門管圧はprostaglandin F2αにより上昇し, atropineにより低下し, gastrinでは変化なく, また肛門管収縮波はいずれの薬物にても影響をうけなかった.直腸肛門反射はprostaglandin F2αにより明瞭となりatropineにより不明瞭となりgastrinでは変化はみられなかった.以上のことより, prostaglandin F2αは鎖肛術後の肛門管圧の低い失禁例に使用し肛門管を収縮させ, あるいはHirschsprung病術後などの不明瞭な直腸肛門反射を明瞭にしたり, またatropineは, 慢性便秘で肛門管圧の高い例に使用し治療に応用できる可能性がある.

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