日本大腸肛門病学会雑誌
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抗菌剤による大腸手術前処置の検討
カナマイシン, メトロニダゾール, ポリミキシンB
岡村 孝井上 敏直竹村 和雄丸山 洋佐藤 いづみ三島 好雄中谷 林太郎千田 俊雄
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1984 年 37 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

嫌気性菌に対してメトロニダゾールを, 好気性菌に対して従来から第1選択とされていたカナマイシンを併用投与する大腸術前処置について, カナマイシン単独投与及び機械的腸処置のみの方法と大腸内細菌叢に及ぼす影響と術後感染症の予防効果を比較検討した.処置後の大腸内容1gm当りの菌数は, 嫌気性菌, 好気性菌とも著しく減少した.同様の背景因子, 術式をもつ患者群で術後感染症の発生率を比較し, 創感染に対してより優れた予防効果を認めた.さらに, カナマイシン使用に伴う問題を解決するためにポリミキシンBを選択し, メトロニダゾールと併用して, カナマイシンとメトロニダゾールの併用と同様に比較検討した.Streptococcusを除く大腸内細菌叢の減少効果と術後感染症の予防効果に差を認めず, ポリミキシンBとメトロニダゾールの併用投与の方が好ましいと考えられた.

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