1984 年 37 巻 5 号 p. 529-534
(1) スクリーニングによる主病巣の捨いあげ, (2) 肝転移, 腹水, リンパ節転移, 水腎症など副病変の診断, (3) 壁深達度, 他臓器浸潤の診断 (4) 肝転移, 局所再発の術後follow-upなどが大腸癌における超音波検査の主な役割である.体表走査法, 経膀胱的走査法, 経直腸的走査法を用いた自験例を中心に超音波診断の現状と有用性について述べた.体表走査法による腫瘍描出率は77%でスクリーニングとして有用である.他臓器浸潤診断率は67%でとくに膀胱浸潤に対し診断率は高い.現状では1群のリンパ節以外のリンパ節転移の診断は困難である.経直腸的走査法では腸管の壁構造が層状に描出されるので将来壁深達の診断も可能になると思われる.局所再発腫瘍の描出率は75%であるが質的診断は困難である, しかし経時的変化を容易に追跡でき, またエコーガイド下細胞診なども応用できるため局所再発に対する超音波検査の診断的意義は大きい.